日本肩関節学会の取り組み

学術論文

国際論文奨励賞受賞者の声

川島 至

八千代病院

この度は、肩関節学会国際論文奨励賞を賜り、誠に光栄に存じます。この場をお借りし、謹んで御礼とご挨拶を申し上げます。

私は名古屋大学整形外科の膝・肩・スポーツグループに所属し、肩関節・膝関節疾患およびスポーツ整形外科の診療に従事してまいりました。受賞論文の一つは、名古屋大学在籍中に北海道八雲町の住民健診データを用いて行った研究で、腱板断裂患者における骨粗鬆症治療率が著しく低いことを報告したものです。骨密度の低下と腱板断裂の関連は既に多くの報告がありますが、修復術時のアンカー固定性の低下、対側腱板断裂の発生、さらには修復後の脆弱性骨折による著しいADL低下などの事態を防ぐためにも、骨粗鬆症への積極的な介入が重要であると考えております。二つ目の論文は、名古屋大学在籍中に非常勤で勤務していたあさひ病院において、岩堀裕介先生が関節鏡下バンカート修復術後の関節窩骨吸収を防ぐために工夫されている、「関節窩辺縁の骨を小さく剥離する術式」が実際の関節窩のサイズに与える影響について報告したものです。また、肩関節外科および研究の手法と論文の書き方について学ぶべく、2020年に船橋整形外科スポーツ医学・関節センターにて短期間の国内留学をさせていただきました。留学終了後も長く継続的にご指導をいただき、共同研究の機会にも恵まれております。受賞論文の三つ目は、船橋整形外科の松木圭介先生のご指導のもと、2D/3Dレジストレーション法を用いて動態解析を行った研究です。高橋憲正先生がリバース型人工肩関節置換術(rTSA)を御執刀・フォローされている患者さん方を対象に、大結節と肩峰間におけるインピンジメントの発生と、そのリスクとなる指標の提案を行いました。rTSA後の肩関節動態は未解明なことも多く、理想的な動態やインプラント設置位置は今後の課題と考えます。高橋先生、松木先生方との共同研究はこれに留まらず継続させて頂いており、今後また改めてご報告できれば幸いです。

私は2025年1月までUniversity of Floridaへの留学の機会を頂き、その翌月の2月より名古屋大学関連の八千代病院にて整形外科部長として勤務しております。現在は肩・膝関節いずれも多くの外来診療および手術を担当しておりますが、これまで肩関節に専念されている、もしくは肩・肘関節診療に従事されている先生方に対して一抹の引け目を感じておりました。今回このような栄誉ある賞を頂戴し、肩関節診療に対する自らの熱意が伝わる契機となれば、これ以上の喜びはありません。

今釜史郎教授をはじめ、名古屋大学整形外科教室で御指導頂きました先生方、岩堀裕介先生、高橋憲正先生と松木圭介先生をはじめとする船橋整形外科肩肘チームの皆様、そしてご支援いただいた全ての方々に、心より深く御礼申し上げます。今後も本賞の受賞を励みに、臨床に直結する研究を積み重ねてまいる所存です。引き続きご指導・ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

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