ご挨拶
日本肩関節学会理事長 菅谷啓之(東京スポーツ&整形外科クリニック院長)
2022年10月6日、一般社団法人日本肩関節学会の第5代理事長を拝命いたしました菅谷啓之です。2024年に50周年を迎える伝統ある本学会ですが、2014年に一般社団法人となり、初代井樋栄二理事長、第2代玉井和哉理事長、第3代柴田陽三理事長、第4代池上博泰理事長の後を受け、第5代の理事長を拝命いたしました。本学会の歴史の重みと今後の重責を考えますと身の引き締まる思いですが、誠心誠意、本学会の発展のために全力を尽くす所存でございますので、皆様、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
日本肩関節学会は1974年に「肩関節研究会」として発足し、その後名称を、「日本肩関節学会」と変え、2014年からは一般社団法人となり法的にその責任と義務が明確になりました。2022年7月31日時点の会員数は、2,294名(正会員1,626名, 準会員1号292名,準会員2号341名,名誉会員 34名)となっております。本学会は肩関節に関する専門分科会として世界最古の歴史を誇っており、定款に謳われている『肩関節医学の進歩普及に貢献し、もって人類の福祉に寄与する』という目的を遂行するために、皆様とともに努力してまいりたいと存じます。
日本肩関節学会では従来、国際委員会が中心となり国際化を進めてまいりましたが、2020年に発生したCOVID19による世界的パンデミックにより国際交流が完全に閉ざされておりました。この間、パンデミックによる怪我の功名とも考えられるvirtualミーティングが盛んにおこなわれるようになりました。実際に現地を訪れることなくインターネットを用いた会議は当然のツールとして全世界で活用されるようになり、パンデミックの完全終焉後もこの叡知は今後もずっと活用されるでしょう。しかしながら、国際交流の大きな目的の一つはfriendshipの醸成であり、このためには現地に赴いて直接face to faceでの議論と会食が不可欠です。2022年の秋に入り第7波も終焉となりつつある現在、やっと国際交流が再開される機運が高まってまいりました。実際、従来まで一方通行であったASES(米国肩肘学会)とのトラベリングフェローも、2022年9月に初の国内受け入れを行いましたし、久々にKSES(韓国肩肘学会)のトラベリングフェロー受け入れも行いました。また、中断していたSECEC(欧州肩肘学会)とASESへの日本からのフェローの派遣も再開いたしました。今後もこれらの国際交流は積極的に進めていきますので、学会員の皆様には積極的にこれらのシステムを利用して頂き、ボーダーレスといわれる現在、国際人として活躍できる若い先生をどんどん増やしていきたいと考えております。
2014年4月から国内で使用開始となりましたリバース型人工肩関節が導入されて8年半が経過し、2022年8月までで国内で約20000件のリバース型人工肩関節手術が行われております。リバース型人工肩関節は本邦で臨床試験を行わないで保険収載された初めての人工関節であり、日本整形外科学会が主導して日本肩関節学会が実質作成したガイドラインは、濫用を防ぐために当初はかなり厳格なものでしたが、臨床の現場に即した形で何度か改訂され、現行のガイドラインはかなりリーズナブルなものになったと感じております。また、骨折治療学会からの要望のもと、2019年には骨折医にもリバースの門戸が開放されました。この時点よりガイドラインは日本肩関節学会のリバース型人工肩関節運用委員会から日本整形外科学会のリバース型人工肩関節適正使用基準検討作業部会にその軸足が移されましたが、今後は、よりリバース型人工肩関節を普及させていくために、さらなる実施医基準の緩和などが行われていくものと思われます。
2022年10月の肩関節学会時に、新たに19名の代議員が誕生し総計81名となりました。一般社団法人日本肩関節学会の目的である肩関節外科学の進歩・普及を進めていくためには、代議員の業務は大変重要になります。現在13の常設委員会と2つの特別委員会、さらに一つのワーキンググループが活動しています。これらの委員会は代議員だけでなく一般会員の皆様にも協力を頂いており、広く意見を取り入れながら活動を行っております。学会として改善・改良点があれば逐次柔軟に対応していきたいと考えておりますので、学会に対する御意見・御要望がございましたら、事務局まで是非ともご一報下さい。先達が築かれました本学会の伝統を守りながら、未来へ向けて一層の発展を目指していきたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
日本肩関節学会 理事・監事
日本肩関節学会における歴代会長と開催地、開催日です。
会長 | 開催地 | 開催日 | |
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第1回 | 遠藤寿男 | 徳島市 | 1974年10月18日 |
第2回 | 小田清彦 | 山口市 | 1975年10月29日 |
第3回 | 高岸直人 | 福岡市 | 1976年11月4日 |
第4回 | 土屋弘吉 | 横浜市 | 1977年11月4日 |
第5回 | 宮崎淳弘 | 鹿児島市 | 1978年10月22日 |
第6回 | 信原克哉 | 相生市 | 1979年10月20日 |
第7回 | 河路 渡 | 東京都 | 1980年10月18日 |
第8回 | 安達長夫 | 広島市 | 1981年10月3日 |
第9回 | 山本龍二 | 東京都 | 1982年10月2日 |
第10回 | 鈴木良平 | 長崎市 | 1983年10月1〜2日 |
第11回 | 福田宏明 | 横浜市 | 1984年11月10〜11日 |
第12回 | 松野誠夫 | 札幌市 | 1985年10月5〜6日 |
第13回 | 高岸直人 | 福岡市 | 1986年10月28〜30日 |
第14回 | 三笠元彦 | 東京都 | 1987年10月31〜11月1日 |
第15回 | 桜井 実 | 仙台市 | 1988年10月14〜15日 |
第16回 | 松崎昭夫 | 福岡市 | 1989年11月23〜24日 |
第17回 | 加藤文雄 | 東京都 | 1990年10月12〜13日 |
第18回 | 水野耕作 | 神戸市 | 1991年11月15〜16日 |
第19回 | 田畑四郎 | 磐城市 | 1992年10月2〜3日 |
第20回 | 伊藤信之 | 長崎市 | 1993年10月1〜2日 |
第21回 | 久津間智允 | 甲府市 | 1994年10月14〜15日 |
第22回 | 尾崎二郎 | 奈良市 | 1995年10月21〜22日 |
第23回 | 佐野精司 | 大宮市 | 1996年10月31〜11月1日 |
第24回 | 平澤泰介 | 京都市 | 1997年10月31〜11月1日 |
第25回 | 藤巻悦夫 | 東京都 | 1998年10月29日〜30日 |
第26回 | 小川清久 | 大宮市 | 1999年11月18〜19日 |
第27回 | 高木克公 | 熊本市 | 2000年11月10〜11日 |
第28回 | 森岡 健 | 横浜市 | 2001年9月15〜16日 |
第29回 | 福田公孝 | 札幌市 | 2002年9月20〜21日 |
第30回 | 高岸憲二 | 前橋市 | 2003年9月12〜13日 |
第31回 | 筒井廣明 | 横浜市 | 2004年10月8〜9日 |
第32回 | 黒田重史 | 浦安市 | 2005年9月2〜3日 |
第33回 | 伊藤博元 | 東京都 | 2006年9月29日〜30日 |
第34回 | 玉井和哉 | 宇都宮市 | 2007年10月12日〜13日 |
第35回 | 米田 稔 | 大阪市 | 2008年11月28日〜29日 |
第36回 | 荻野利彦 | 山形市 | 2009年10月9日〜10日 |
第37回 | 熊谷 純 | 仙台市 | 2010年10月8日〜9日 |
第38回 | 柴田陽三 | 福岡市 | 2011年10月7日〜9日 |
第39回 | 中川照彦 | 東京都 | 2012年10月5日〜6日 |
第40回 | 黒川正夫 | 京都市 | 2013年9月27日~9月28日 |
第41回 | 森澤佳三 | 佐賀市 | 2014年10月24日~10月25日 |
第42回 | 井樋栄二 | 仙台市 | 2015年10月9日~10月10日 |
第43回 | 望月 由 | 広島市 | 2016年10月21日~10月22日 |
第44回 | 菅谷啓之 | 東京都 | 2017年10月6日~10月8日 |
第45回 | 菅本一臣 | 大阪府 | 2018年10月19日~20日 |
第46回 | 畑 幸彦 | 長野市 | 2019年10月25日~26日 |
第47回 | 末永直樹 | 札幌市 | 2020年10月9日~10日 |
第48回 | 岩堀裕介 | 名古屋市 | 2021年10月29日~30日 |
第49回 | 高瀬勝己 | 横浜市 | 2022年10月7日~8日 |
第50回 | 池上博泰 | 東京 | 2023年10月13日~14日(予定) |
第51回 | 今井晋二 | 京都市 | 2024年10月25日~26日(予定) |
第52回 | 伊﨑輝昌 | 福岡市 | 2025年10月10日~11日(予定) |
第1・2回は中部日本整災会に併設して行われ、第3回より全国的規模となり、
第13回は第3回国際肩関節学会(ICSS)とCombined Meetingの形で開催された。